なぜか推しが追ってくる。
「……羽目を外しすぎない程度に楽しめよ」
先生が渋々ジャスト5秒でまとめれば、教室は「イェーイ!!!」と大きな歓声に包まれた。
──昨日、本当に久しぶりに立った観客のいる舞台。
完璧だったかた問われれば自信を持ってうなずくことはできないけれど、恭くんのおかげで最後まで楽しく演じことはできたと思う。
そしてその緊張から解放された今日は、高校生活初めての文化祭を恭くんとゆっくり楽しむ……というか、恭くんに仕事の疲れを癒してもらうためサポートすると決めていた。
皆が各々持ち場についたり(うちのクラスは景品付き輪投げ大会をやる)、目を付けていたどこかのクラス展示へ一目散に走っていったりする中、わたしはカバンからA4サイズの紙を一枚取り出す。
それを隣でパンフレットをパラパラ捲る恭くんに見せた。
「見て恭くん。文化祭一番効率よく回れるルートを昨日考えてきたの! 徹夜で!!」
細かく矢印が描き込まれた校舎地図と、分刻みのスケジュール。