冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 出発当日など見送りに来て、悲しみに目を潤ませそばから離れなかった。その様子はまるで捨てられる仔猫のようで、胸が痛んだ。もう、混乱させないでほしい。

 そしてもう一人の姉ミザリーは
「リーン、あなた討伐隊に入ることレティシアに言ったの?」
「言ってないよ。レティシアは気にしないよ」
「そうね。レティシアはあなたがいなくて返って喜ぶかもね。ねえ、どうしてあなたたち仲が悪いの? レティシアが、なぜリーンのことを蛇蝎のごとく嫌うのか分からないわ。あなたはとても優しいのにね。何かあったの?」
 心配そうに言う。
「……」
 いつもは気配り上手な姉の無神経な言葉がざくりと胸に突き刺さる。
 そうだ。レティシアが気にするわけがない。それどころかせいせいしたと思うだろう。リーンハルトは苦笑して肩をすくめた。彼女に話す必要などない。

 今思うとミザリーはなぜあのようなこと言ったのか?
 そしてなぜ自分もミザリーの言葉に納得してしまったのか?

 
 リーンハルトはレティシアとミザリーが一緒にいるところをほとんど見たことがない。彼女たちは子供の頃べったりとくっついて仲が良かった。それがいつの間にか距離をおくようになっていた。だからといって特別仲が悪いわけではない。
 
 ――気にかかる……。




 夕方になり、営舎に着くと、兵士たちがそわそわして落ち着きがなかった。リーンハルトは広い食堂の一角でアランを見つけ彼の隣に腰かける。
 二人は茶を飲みながら、労い合った。

「それで、この騒ぎはどうしたんだ?」
 営舎中が浮き立っているというより浮かれている。リーンハルトは不思議に思った。

「今日、新しい光魔法師が来たらしいですよ」
「こんな時期に?」
「二人追加みたいです。毎年の事らしいですよ。それがえらい美人らしくて」
「女性か? それで騒いでいるのか」
「まあ、営舎では体を休める以外なんの楽しみもないですからね」

 二人が話していると、ここで仲良くなったロベルトとジェフという二人の魔法師がやって来た。

「おーい、リーンハルト、アラン。新しい子来たよ。見に行かないか?」
とロベルトが嬉しそうに話しかけて来る。彼らの部隊は今日は休みだったようで、暇を持て余しているようだ。

「いや、いい。疲れたら休みたい」
「僕もやめておきます」

「えー! ひとりは珍しい銀髪らしいぜ」
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