冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
とジェフが言う。 

「ああ、なお更いいや。銀髪なら見慣れているから、別に珍しくもなんともない」
 あまり思い出したくないものを思い出しそうになる。人を振り回すのが得意な彼女は今頃どうしているだろう?

「はあ、しょうがないな。じゃあ、俺たち声かけ……じゃなくて挨拶してくるから。傷を癒してもらうんだし。挨拶大事でしょ」
「いってらっしゃい」
 リーンハルトとアランはうきうきとする二人を見送った。

「なんだか、挨拶と言うより、デートにでも誘いそうな勢いですね」
「まさか。ここは営舎だぞ。遊びにいく場所なんてないだろ」

 二人がぼそぼそと話しているとリーンハルトの隣の席の椅子がガタンとひかれた。

「きちゃった」
 聞き覚えのある透明感のある綺麗な声。見ると銀髪の少女が照れ笑いを浮かべている。

「え? レティシア……」
 驚いて目を見開く。

「いま討伐から帰って来たんでしょ? 痛いところはない? どこもけがしてない?」
 リーンハルトの隣にちょこんと座り心配そうに聞いてくる。

「はあ? お前、何やってんだよ! きちゃったじゃないだろ!」
 食堂にリーンハルトの絶叫が響く。
「本日付で配属になりました。光魔法師見習いレティシア・フォン・シュミットです」
 そう言ってにっこりと笑う。
「帰れよ」
 元気に挨拶するレティシアにリーンハルトは脱力する。来てしまったものは仕方ない。

「そんな言い方ってないじゃない。これから仲間になるのだし」
 レティシアが少ししゅんとする。

「とりあえず、やることがなくて暇なら、ふらふら出歩くな。部屋に戻って鍵をかけて閉じこもってろよ。それから知らない奴に声をかけられてもついて行くなよ。親切な奴らばかりではないし、気が荒いやつもいる」

 リーンハルトはレティシアを引きずって宿舎に放り込み、仕事以外やたらと外出しないように注意した。さすがに彼女も不平は言わず神妙な面持ちで頷いていた。

「大丈夫よ。心配しないで。お父様とお母様から、リーンハルトのいう事をちゃんと聞くように言われているから、あなたには迷惑かけない」

などと真剣な顔で言う。「じゃあ、帰れ」と言いたいのを何とか飲み込んだ。
 
 結局それはリーンハルトがレティシアの面倒を見るということで……。父母から彼女を託されたようだ。

 やはり、父母の言う通り、きちんと事前に話して説得しておけばよかったと、リーンハルトは今更ながら後悔した。
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