冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 ◇◇◇


 最初は営舎の慣れない生活にとまどった。

 一応雑役をする者はいるが、ある程度身の回りのことは自分でしなければならない。しかしレティシアには下町育ちという強みと繰り返しの記憶があった。

 そのため比較的早く馴染んだ。困ったことがあればエレインと二人で力を合わせた。そしてリーンハルトやアランが力になってくれることも多々あった。


 生活は厳しく娯楽はないが、光魔法師は隊について行くことはほとんどない。あくまでも後衛なので営舎で彼らの帰りを待ち適宜治療をしたり時には話し相手になった。そしてせっせとアミュレットを作る。もちろん数が多いので、量産式のものだった。

 その日、リーンハルトが三週間ぶりに遠征から帰ってきた。
 死者はなく、重軽傷が二名。実際討伐隊に参加してみると死亡者が出ることは稀だ。数年ごとに行われる大規模な魔獣討伐は常に慣れた人間が配置され、安全性に配慮されているという。
 幸いけが人は二名とも命に別状はなく、レティシアは処置を終えるとリーンハルトの元へ急いだ。光魔法師の仕事は治癒力を高めることで、医術が発達したこの国では後は医者の仕事だ。

「リーンハルト、お帰りなさい。アミュレットの調子はどう?」

 もちろんそれは支給品ではなく、レティシアが渡したものだ。

「まあいいよ。疲れが取れるのが支給品より早いかな」

 この頃には彼らは普通に話していた。それこそ、レティシアが着任した当初は顔を合わせれば「帰れ」とリーンハルトが煩かったが半年が過ぎるころには諦めてくれた。いい義弟だ。

「ねえ、ちょっと貸して」

 リーンハルトが胸ポケットから取り出す。

「ああ、いいよ。何なら返す。レティシアが持っていればいいだろ。戦場にいるんだし」
「ひどい! あなたにあげたのに、突き返そうっていうの?」

 レティシアが顔を真っ赤にする。

「いや、そういうわけでは……」

 リーンハルトが言葉を濁す。

「魔力量が減っているわ。あなたちょっと危険な目にあったでしょ?」

 リーンハルトはベテランに混じって常に前線に立っているようだ。待っているレティシアは気が気でない。

「いや、大丈夫だよ。アランが助けてくれた」
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