冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「そうですよ。レティシア様からいただいたアミュレットをとても大切にされていますよ」
 
 エレインとアランが慰めてくれた。



 ◇


 レティシアは討伐隊に参加して、けが人を癒している間にも自分はまた二十歳目前で死んでしまうのかなという思いは頭の片隅にあった。

 結局今回は何もかも放り出して、リーンハルトについてきてしまったので、原因は分からずじまいだ。
 
 前回は呪いではないかと疑ったが、結局レティシアの代わりにリーンハルトがトレバーに殺されてしまった。

 自分なりにいろいろと考えてみた。
 まず、トレバーの言っていた「あの人」とはミザリーのことではないかと推測を立てた。
 それから自分の代わりに誰かが死ぬことで、助かるのだろうかと――あの時レティシアは自死しなけば二十歳の誕生日を迎えていた――そんな考察もした。ただそうまでして生き延びたいと思わない。あんなことは二度とごめんだ。
 

 それに前回はミザリーが関与していたという決定的なものがない。そのうえ、リーンハルトがミザリーは魔力持ちではないといっていた。


 だとしたら、人を操ることが上手いのか? そういえば、黒魔術は精神を操ると前回聞いた覚えがある。しかし、ミザリーは魔力持ちではない……。結局、思考は堂々巡り。

 とりあえず考えるのは討伐隊の任期が終わってからだと思った。

 生き死にを繰り返して来たせいか、恐怖に追われてとか、どうしても助かりたいとかという思う気持ちが希薄になってきている。

 戦場に身を置いているせいかもしれないが、リーンハルトが無事ならばとりあえずはいいと思ってしまう自分がいる。

 ここに来てからの毎日は目が回るほど忙しい。レティシアは休みになると一日寝てしまうこともある。その休みすら、けが人が多いと潰れてしまう事もあった。
 今は目の前にある仕事を一生懸命にこなしていこうと決めていた。
 


「リーンハルト、これ」
 レティシアは食堂にいるリーンハルトにアミュレットを渡した。
「ああ」
 
 リーンハルトは短い返事をして受け取る。きっと彼はアミュレットをレティシアに返したいのだろう。

「気を付けて行ってきてね」
「心配し過ぎだ。レティシア、あまり無理するなよ」

 そう言ってリーンハルトが去ってから十日が過ぎた。

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