冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 なんだろうと思い身を起こす。森の緑と焚火が目に入った。そしてその先にベヒモス。
 レティシアはびくりとする。自分がどこにいるのか思い出した。

「目が覚めたか。そろそろ出発するぞ」

 リーンハルトの声に顔を上げる。別段いつも通りで怒っている感じはなく、その青く澄んだ瞳には軽蔑の色もない。しかしその横にはアランがいた。


 アランもレティシアと同じでリーンハルトの不在を知るや否や営舎を飛び出したらしい。夜明けにやって来たと聞いた。
 その後、軽く朝食を済ませて三人は出発する。

 結局リーンハルトは杖をつき、足場の悪いところではアランが支えた。レティシアはいらなかったようだ。二人ともレティシアの荷物も持つと言ったが、それは固辞した。こんなところで紳士な態度をとられても困る。
 それどころかかえって迷惑をかけてしまったかも……。

「はあ、何のために来たんだか。しかも寝ちゃったし」

 思えばいつも空回り、情けなくなってポツリと小さく呟く。

「レティシア、疲れたなら休むが? お前は森のなかでの移動に慣れていないだろ」

 気づかわしげに義弟がレティシアの顔を覗き込む。けが人に心配されてしまった。とにかく彼らの足手まといにならないようにしよう。

「ううん、大丈夫。急いだ方がいいよね」

 レティシアはできうる限り早く歩いた。


 ◇


 営舎につくと三人とも聞き取り調査を受けた。アランとレティシアは厳重注意をうけた。

 しかし、違反一つしていないし、一人でもどうにかできたであろうリーンハルトが一番叱られてしまった。

 彼はきちんとケガをしたときの手順通りに結界をはり野営して、朝に営舎に帰ろうとしていた。規律違反は何もない。
 だが、年は一番年下だが彼は正式な魔法師だ。レティシアやアランのように見習いではない。階級は三人のなかでは一番上だったため罰を受けることになった。レティシアはその理不尽さに泣きそうになる。

「なんで、私が悪いのに義弟が罰を受けるの?」
「仕方ないさ。ここは軍隊だからね」
 聞き取りが行われた部屋から出るとロベルトに声をかけられた。
「理不尽です」
「まあ、リーンハルトは見習いではなく魔法師だし、彼の活躍を面白く思わない者もいるからね。今回のことも抜け駆けのように言う輩もいてさ」
「そんな……皆仲間じゃないですか」
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