冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 しかし、そんな予想に反して、晩に泣き腫らした目でエレインがレティシアの部屋を訪れた。

「レティシア、私ふられちゃった」
「ええ! なんで?」

 二人は鈍いレティシアからみてもいい感じだった。いったい何が原因なのだろう。身分差だろうか?

「うん、要約するとね。今は家を支えることを考えるので精いっぱいだから。そんな余裕ないって言われた」

 レティシアにしても残念な話しだ。約束通りひたすら彼女を慰めた。きっとアランは自分のたった一人の母親を支えるので精一杯なのだろう。


 ◇


 あと少しで任期があけるという頃それが起こった。

 討伐に行った先で予想以上の魔獣に襲われたのだ。無事に討伐は終わったが、重傷者が多く、営舎に帰ることが困難なため、レティシアとエレインは他の光魔法師や医師たちとともに現場に向かった。光魔法師に出来ることは治癒力を高める事だけだ。後は医師の領分だ。

 リーンハルトとアランが心配でたまらない。昨夜レティシアはアミュレットが割れる夢を見たばかりだ。エレインと「大丈夫!」「大丈夫よね?」と励まし合いながら、現場へ向かった。

 現場は酷いありさまだった。担架が足りず、けが人がシートに転がされている。そのなかに大けがを負ったリーンハルトがいた。レティシアはショックで気が遠くなりそうだった。こうなると貴族も庶民もない。

「リーンハルト!」
「レティシア。俺は大丈夫だから。他の奴から先に」
 何が大丈夫なのだろう。彼はボロボロだ。レティシアは直ぐに患部を清めた。

 二日ほどで現場の混乱は収まり、けが人はみな営舎に運ばれた。リーンハルトは派手に出血していたが、命に別状はなかった。
 
 しかし、二週間の安静が言い渡され傷病人施設のベッドに運ばれた。一部屋に十二台ほどのベッドが並べられている。レティシアは休憩時間が来るとそこに入り浸った。

「レティシア、他のけが人もいる。俺ばっかりみるな。アランは大丈夫か?」
 レティシアがリンゴをむいていると、リーンハルトが居心地悪そうに言う。

「大丈夫。骨は折ったけれど無事よ。エレインがみているわ」
「なんだ。俺より重症じゃないか」
 リーンハルトが心配そうな顔をする。

「何言っているのよ。あなただってあと数センチずれていたら」
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