冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 だが、義父母が引き取ってこうして育ててくれなければ、レティシアは孤児院から出たあと身売りして十四、五歳で死んでいただろう。
 自分の傲慢さを反省した。 

 その夜、レティシアはミザリーの部屋を訪れた。話がしたいと思ったからだ。
 しかし、出てきたのはニーナで、いまは疲れているからと断られた。折角対話する勇気が出たのに……。
 多分どれほど言葉を重ねても彼女から本音を引き出すことは出来ないのだろう。

 そういえば、ニーナは毎回ミザリーと行動を共にしている。彼女達二人を引き離せば、自分の運命も何か変わるのかなとふと思った。

 でもきっと、今から何かをやるには遅すぎる。そんな気がした。



 ◇

 新学期が始まった。新鮮な気持ちで最終学年のBクラスに入る。

 レティシアとエレインを遠巻きにする者もいれば、討伐について矢継ぎ早に質問してくる者もいる。

 そのうえ、二人は戦場にいたせいか大声でしゃべる習慣ができてしばらくクラスで浮いていた。言葉遣いがすっかり悪くなり、戻すのに苦労した。

 しかし、ひと月もすると慣れ、遅れた勉強は大変だったけれどそれなりに充実した日々が始まる。
そんな時、レティシアはエレインに呼び出された。

「レティシア、聞いてくれる?」

 学園の人気のないサロンでエレインが珍しく思いつめたように言う。

「どうしたの? あらたまって」

 レティシアが心配そうにのぞき込む。

「実はね……。アラン様とお出かけすることになったの」
「え? ほんとう、おめでとう!」
 
 喜んで拍手するレティシアをエレインが慌てて止める。

「まだ、気が早いわよ。それより、レティシアがリーンハルト様を通してアラン様に何か言ってくれたんじゃないの?」

「まさか、私は何も話していないわ」
「レティシアって口が硬いのよね」

 エレインが感心したように言うが、レティシアは首を振った。

「そうじゃないわ。リーンハルトはあまり噂話とか好きではないのよ」
「ああ、なんとなくわかる。潔癖そう。でもレティシアの言うことならなんでも聞いてくれるんじゃないの?」

「そんなことないよ。営舎で見てたでしょ?」
 
 喧嘩と言うほどではないが、二人はよく言い合いをしていた。

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