冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「営舎で見ていてそう思ったんだけれど? それにこの間も素敵な羽ペンをリーンハルト様からもらっていたじゃない」

「ああ、違うわ。あれはリーンハルトが『使いやすい』って言ったから、『いいな』って言ったら同じものを買って来てくれたのよ」

 リーンハルトは親切なのだ。どこの店で買ったのか聞いただけなのに、次の日プレゼントしてくれた。

「ほらね。お揃いじゃない」

とエレインがくすくす笑う。
 レティシアはぶんぶんと首を横にふり、話題を戻した。

「それで、どこに行くの?」

 するとエレインが嬉しそうに頬を染める。彼女にしては珍しい事だ。いつもは頼もしく見える友人が今日は可愛らしい。

「公園にしようかと思って、それでね。サンドウィッチを持って行こうかと」
 何のことはないエレインの相談とはサンドウィッチの具は何かがいいかということだった。営舎では逞しく過ごしたエレインもすっかり恋する乙女になってしまった。




 その晩レティシアは忙しいリーンハルトを捕まえた。

「リーンハルト、教えてもらいたいことがあるの」

 サロンで休む義弟に突撃する。

「なに? 俺これから論文書くから忙しいのだけれど」

と迷惑そうに言われた。

「アラン様の好物って何?」
「は?」

 リーンハルトが不快そうに眉根を寄せる。

「サンドウィッチの具でアラン様が好きなのって何?」
「なんで、俺がそんなこと教えなきゃならないんだよ」
「いいじゃない。マスタードが苦手だとか逆に多い方が好きだとかそういう情報が欲しいのよ」
「だから、なんでだよ」

 本当に忙しいようで、義弟は機嫌が悪い。なんだか怒っているようだ。

「細かいことは言えないけれど、友人の頼みなのよ」

 するとそれまで怒っていたリーンハルトが気が抜けたような顔をする。

「なんだ。
 アランはベーコンが好きだよ。それからマスタード多め。別に彼は嫌いなものはないから大丈夫だよ。なんでも美味いと言って食べる」
「贅沢なあなたとは違うのね」

 レティシアが感心したように言う。アランはきっと恋人としても夫としても理想的だろう。

「俺が贅沢?」

 リーンハルトが心外だと言う顔をする。

「そうよ。サンドウィッチはローストビーフが好きだし。アスパラガスの穂先は嫌いじゃない」
 
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