冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 営舎で出された時、一瞬彼の眉間にしわが寄るのをレティシアは見逃さなかった。 

「お前、なんで知ってるんだよ」
「え? 見てれば分かるもの」

 レティシアがそういうとリーンハルトは顔を赤くして、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
 

 ◇


 そして平和な学園が続き、卒業することになった。レティシアは教会に勤めることに決めた。よりよいアミュレットを作れたらと思っている。

 実は魔道具士もいいなと思ったが、生憎レティシアは光魔法しか使えない。作るとしたらアミュレット専門だ。

 そしてリーンハルトはというと専科で研究しつつ王宮でも職を持ち、忙しくしている。この一年仲違いしていたわけではないが、お互い忙しくて特別話す機会もなかった。

 きっと彼はこのまま順調に出世して、素敵な女性に出会い、良い結婚をするのだろうと思った。

 
 レティシアはもちろん学園生活での最後の一年、呪いについても調べた。しかし、繰り返しの人生でそれはやりつくした感がある。まだ知らないこともあるし、いくら勉強をしても難しくて読めない本もたくさんある。

 だが、家族の仲が良くてリーンハルトが無事ならばもうそれ以上はいらないと思うようになっていた。

 いまは自分が死ぬことよりもループを止めたいと言うのが本音だ。なんだかんだと皆が無事に生きていて幸せだ。

 思えば、孤独な戦いで人を巻き込んだり傷つけたりの繰り返しで、レティシアは疲れを覚えていた。

 だから、アミュレットを作ることはあってもことさら身に着けるようなこともしなかった。心が不思議と凪いでいた。


 ただ、母の形見の銀の指輪は肌身離さず持っていた。しかし、それはなぜかループを繰り返すたびに黒ずんできているようで気になる。

 まさか、この指輪が関係しているのかとも思ったが、特別高価なものには見えない。鈍い銀色で、孤児院でも取り上げられなかったものだから、多分何の力も価値もないのだと思う。

 ただ母の形見だから大事にしているだけ。そしてそれは母が父から貰ったもの。レティシアは父の顔を覚えていない。





 ◇

 学園を無事卒業したレティシアは結局前回と同じで、教会所属の光魔法師として働くことを選んだ。

教会の研修が始まりひと月が過ぎた頃、エレインとアランの結婚が決まった。

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