冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「あなたのこと嫌いなふりをして」
「それはもう済んだことだろう。理由だってわかっている。それより、謝らなければならないのは俺たちの方だ」

 せっかく会えたのに、馬車の中は重い雰囲気に包まれた。

 久しぶりに帰る実家では、義父母に玄関ホールで出迎えられた。両親と会うのはひと月ぶりである。

「レティシア、辛い思いをさせて済まなかった」
 オスカーは一回り小さくなってしまったかのようにやつれている。

「ごめんなさい。あなたの苦しみに気付かなくて母親失格ね」
 オデットもとても悲しそうで、憔悴しきっていた。

 レティシアを大切に育ててくれた両親に揃って頭を下げられた。彼らがどれほど苦しんでいるかが伝わって来る。いままで義父母は事件の聴取や対応で大変だったようだ。レティシアとの面会も許されなかったらしい。

「いえ、お父様とお母様のせいではありませんから、やめてください」

 そんな言葉がすんなりとレティシアの口から出た。彼らを恨むなどお門違いだ。リーンハルトも自責の念を感じているので困った。呪いだのループだの、こんな荒唐無稽な話を誰が信じると言うのだろう。

 レティシアにとってミザリーは許しがたい相手だが、彼らにとっては大切な実の娘。どれほど辛いだろう。




 現在の状況はサロンでオスカーから聞くことになった。テーブルに茶とレティシアの好きな菓子が並ぶが手を付ける気になれなかった。

「ミザリーは、あのパーティの日に部屋に戻った後、呪いの術式を始めたんだ。多分それはレティシアのアミュレットが砕けたのと関係がある。そして、ニーナは生贄の一つとして使われた」
「そんな、どうして?」

 ニーナとミザリーはどの繰り返しでもいつも一緒にいた。それなのになぜそのような惨い事をするのだろう。

「呪いは多くの生贄を必要とするらしい」
 他にはどのような生贄が使われたのか……。レティシアは身震いした。

「それで、ニーナは無事なのですか?」
「一命だけはとりとめた。ただ精神が錯乱し今は施設にいる。おそらく一生出るのは無理だろう。それにニーナも呪いに加担していたことは確かだ。ミザリーに一方的に利用されていたわけでない。
 夜更けに呪いは完成するはずだった。だが、それは……レティシアも聞いたと思うが、呪いの失敗は呪術師に返って来る」

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