冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 ガチャガチャと拘束具を鳴らし、ミザリーが身を乗り出し興奮し始めた。レティシアはミザリーの質問に背筋が凍る。これが本音? それとも狂っているの?

 リーンハルトがため息を吐いた。

「話にならないな。レティシア、嫌な思いをするだけだ。帰ろう」
 
 リーンハルトが退出を促すようにレティシアの背を押す。

「ねえ、レティシアっていうの? なんでリーンハルトと一緒にいるの? ここから出して、私がその女の代わりになってあげる」
「何を言っているの?」

 レティシアが驚いてミザリーに問いかける。

「馬鹿ね。私があんたになるのよ。そんなことも分からないの?」

 ミザリーがレティシアを睨みつける。二人の目がかちりと合った。彼女の瞳の中に一瞬正気の色が浮かんだ。

「あなた話が通じるの?」

 ミザリーが突然ケタケタと狂ったように笑い始める。

「レティシア、行こう。彼女は悪態しかつかない。ここにいても不快になるだけだ」
 リーンハルトがレティシアの腕を掴んで、牢の前から離そうとする。

「そいつ消えればいいのに。リーンハルト、代わりに私を連れてってよ!」

 ミザリーが立ち上がろうと拘束具を鳴らし叫ぶ。

「どうして私が消えれば、いいと思うの?」

 聞かずにはいられなかった。
 しかし、レティシアの問いにミザリーがにたりと笑う。その後いきなり奇声を発し、体をぶるぶると震わせる。闇の魔力が漏れ始めた。
 すぐに魔法師たちが集まり結界をはり直す。レティシアとリーンハルトは退出するように言われた。

「いったい私が何をしたというの? 何がそれほど気に入らないの?」

 憤りとやるせなさを感じる。

「落ち着いて。レティシアが悪いわけじゃない」

 リーンハルトに抱えられるようしてレティシアは牢獄を後にした。

 ミザリーとの面会では何も得るものがなかった。

 ――家族が皆苦しんだというのに、こんなの悔しい。




 
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