冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 ◇

 その日は牢獄のそばに宿をとった。二人は宿の人気の少ない食堂で軽く食事をしながらポツリポツリと会話した。

「不思議なのよ。私は十三歳に戻って何度か人生をやり直したけれど、そのたびに私の人生は違って。最初と次はひどいものだったわ。周りに散々迷惑をかけて、人様に恨みを買って。呪い殺されても仕方ないのかも」


「それは違うよ、レティシア。迷惑をかけたのかもしれないけれど、だからって殺されていいことにはならない」
「ありがとう……」
 レティシアはリーンハルトの言葉に弱々しく微笑む。

「殿方に媚びるレティシアなんて想像もつかないけれど」
と言って苦笑する。

「あなたにはとても怒られたわ。そして、ミザリーが止めに入ってあなたは去っていった。その直後、私は階段から突き落とされたの。ミザリーかニーナかは分からないけれど」

「それについては呪いだけではなくて突発的なものもあるかもしれない。まあ、ミザリーとニーナは歪な主従関係にあったようだけれど。
 レティシアが変わっているようにミザリーもそれにより変化するのだと思う。その時々によって術式の知識も変わってくる。
 毎回、何らかの方法で二十歳まで生きられないようには呪われていただろうが、いつも今回のような大規模な呪術を行っていたのではないんじゃないかな。推測ではあるけれど」

 彼と話していると少しずつ落ち着いて来るから不思議だ。
 レティシアは食欲がないながらも目の前にあるパンケーキをひと口食べた。

「そうね。でも私三回目以降については身に覚えがないのよ。なるべくミザリーと接点を持たないために魔法師学園に通うことにしたんだもの。リーンハルトのお陰で入れてたのだけれど。
 それなのに三回目は毒入りの菓子で殺されたのよ。私の友人を使って」

「それは違うと思う。菓子に毒は入っていなかったんじゃないかな」
「え?」

「恐らくそういう呪い。ミザリーからの手紙を読んだ瞬間発動したんだ。手紙の中に何か呪いが発動するようなキーワードがあったのかもしれない」
 義弟の話を聞いてなるほどと思う。
「キーワード? ……それならば、私は無実のマリーナを疑っていたのかしら」
 
 繰り返しのなかで彼女を拒絶してしまったので、胸が痛む。

「それはないと思う。彼女とニーナはミザリーが呪いを行うための媒介者だ。ミザリーに植え付けられた強い負の感情を持っていたんだろう。行動も不自然だ。今回呪いが大規模になったのは前回のトレバー氏のように操りやすい人間がいなかったのだと思う」
 
< 139 / 159 >

この作品をシェア

pagetop