冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 しばらくして、リーンハルトが書庫にやって来た。彼はここへ良く来るらしい。レティシアはなるべく友好的に見えるように愛想笑いを浮かべた。が、あっさり黙殺される。

 いままで、伯爵家嫡男である彼にしてきた失礼を考えれば仕方がないのかもしれない。貴族とは元来プライドの高いものだ。レティシアは来る日も来る日も魔導書とにらめっこをしていた。
 じっと見ていれば、そのうち意味が分かるようになるかもしれないと思ったりもしたが、実際はさっぱり分からなかった。

「お前は馬鹿なのか?」

 後ろから静かに罵倒され、振り返るとリーンハルトだった。レティシアの顔が引きつる。

「それは上級者用だ」
「え?」

 驚いて目を瞬く。もしかして教えてくれるの?

「この書庫には入門書も初級用の本もあるが、本を当たるより、まずはお前の魔力適性を知ることが大事だ」
「マリョクテキセイ?」

 訳が分からないというように首をひねる。義弟は、はあとため息を吐くと。レティシアの横の椅子を引いて腰かけた。

「魔力には属性がある。火、水、風、土、光、闇」
「へえ」

 初めて聞く話で素直に感心した。

「魔力のあるものはたいてい、火、水、風、土のどれかに適性がある」

 頭がこんがらがりそうになった。

「あの、適性って一つだけですか?」

 なぜか一つ下の義弟に丁寧語、ものを教わっていると自然とそうなる。彼はまるで家庭教師のような口調だ。

「いや、複数、適性がある場合もある。だが、その中でも得意、不得手などがある」
「リーンハルトは何に適性があるの?」
「お前には関係ないだろ」

 これには少しカチンときた。

「もしかして、どれにも適性がないとか?」

 つい挑発するような言い方をしてしまった。

「違う。俺は強いていえば水で、氷が得意だ」

 彼の瞳は冷たいアイスブルー。ぴったりだ。レティシアはふんふんと頷いた。

「まあ、お前も水、火、土、風のどれかだろう」

 すっかり、「レティシア」ではなく、「お前」になってしまった。彼の義姉嫌いは加速し、ほとんど名を呼ばれることはない。
 それ以前に、口を利くこと自体少ない。どだい関係の悪い者から、情報を得ようということ自体が無理な話なのだ。
 
 気付けば、今世では関わり合いを持ちたくないミザリーとの方がずっとよく話している。

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