冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 だが、それ以降彼が剣術の勝負を挑んでくることはなかった。リーンハルトに嫌われるにはこれでもう充分だろう。いや、むしろ調子に乗ってやり過ぎた。自分の幼稚さと性格の悪さに辟易とする。
 それに彼が嫌いなふりをするたびに胸が抉られるような苦しい思いをする。もう、心がもたない。
 
 まっすぐなリーンハルトを眩しく思う。
 ――彼が昼に生きるならば、私は夜に生きる。
 呪われた自分とは住む世界が違うのだ。大好きな義弟の幸運を祈ろう。
 陰ながら、見守っている。

 以降二人ともこの件に触れることはしなかった。




 ◇

 その後レティシアは剣術と勉強を順調にこなし見事自力で、魔法師学園に入学する。

 それも「C」クラスからのスタートで大いに喜んだ。
 しかし、よくよく考えてみれば、いつも試験問題は同じで、出る問題も分かっているのに解けない。自分は、やはり馬鹿なのだと思う。

 しかし、それを知らない家族は、
「すごいじゃないか、レティシア、よく頑張ったな」
「あなた、一生懸命勉強していたものね。本当に偉いわ。今日の夕食はごちそうにしましょう」

 義父母はくすぐったいくらいにべたぼめである。

「おめでとう」

 振り返るとリーンハルト。ぶっきらぼうなもの言いだが、祝福してくれている。
 え、なんで少し赤くなって照れているの? 
 まだ嫌われ方が足りていないの? 
 それとも嫌いな相手にも単に礼儀正しいだけ? 

 何かを間違えたのかとどきどきし、レティシアは混乱した。

「レティシア、おめでとう。でもあなた社交はどうするの?」

 ミザリーが言う。顔は祝福するように微笑んでいるのにその金茶の瞳は凍えるように冷たかった。
 彼女はレティシアが魔法師学園に行っても、社交をしてもどちらも気に入らないのだ。
 
 何がそれほど気に食わないのか、どうしてそれほど嫌われるのか……。


 今回はCクラススタートということで、煩わしいマリーナとのかかわりもなくなるだろう。
 そして学園が始まると、やはり彼女は「D」クラスにいた。これ以降彼女がクラスを上がることはない。彼女もレティシアと同じく勉強が苦手なのだ。Dクラスに落ちないように頑張るしかない。
 レティシアは入学早々、アミュレットの研究に勤しむことにした。


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