貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
神山透は無言のまま、早歩きでズンズン歩みを進めるので、手を引っ張られる私もそれにならって震える足で、小走りになりながら給湯室から離れていく。

するとしばらく進んだ後、歩みを止めた神山透は一呼吸おいてこちらをくるりと振り返ると、顔をくしゃくしゃに歪ませながら、がばりと私を抱きしめるのだっだ。

「怖い思いをさせて、ごめん」

心なしか震える声の神山透。
密着した体からは、早足をしたせいなのか、はたまた紺野洋子との対峙の影響からか、激しく鼓動する心臓の音が聞こえてくる。

「……こんなことに巻き込んで、ごめん」

更にぎゅうと力を込めて抱きしめられるものだから、なんだか急に安心してしまうやら、神山透が愛おしく感じるやら。
思わずひしと体にしがみつくと「神山さんも、色々お疲れ様でした」と、ひとまず労ってみるのだった。

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