甘く、溶けるように。
店の中に入ると、快活そうな女性が芹沢くんの名前を呼んだ。
たぶん店長さんなのだろう。
呼ばれた芹沢くんも、くだけた表情になる。
「ちょっと雨宿りしてもいいですか?」
…なんか、見たことない感じの芹沢くんだ。
リラックスしてるというか、学校にいるときのオーラをらあまり感じない。
「えぇ、もちろんよ。彼女さんも、ゆっくりしていってね」
芹沢くんは常連さんなんだなぁと思っていたら、突然突拍子もないことを言われて動揺する。
「か、彼女…っ!?」
「あら、違ったかしら?」
こてんと首をかしげる姿からは、悪気があって言ったんじゃないとわかるもので。
「ち、違います!!」
ちゃんと全力否定すると、芹沢くんは苦笑している。
だって、ホントのことだし…!!
勘違いされたら、私より芹沢くんの方が困るんだから。
間違われたら大変だ。
「それはごめんなさいね…私てっきり、冬貴くんに彼女ができたんじゃないかと思って、一人で嬉しくなっちゃったわ…」
「いえ、それは全然…」
でも、なんでこの人が芹沢くんに彼女ができて嬉しくなるんだろう…。