俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~


 そしてあっという間にひと月が過ぎ、カレンダーは十一月になっていた。

――今日はリンクスの婚活パーティの日だ。

 やっとこの日が来たのだと、ほっとしている。

 これまでのひと月、私はこれまでにないほど謀殺されていた。

 共催だがメインはリンクスだ。こちらはバンケットルームを貸し出す側なので企画はリンクスの方ですると聞いていた。

 だから少しほっとしていたのだが、それは最初の打ち合わせから全然安心していられないと言うのにすぐに気が付いた。

 野迫川社長はあんな軽い感じにも関わらず、仕事となれば鬼だった。

『う~ん、それじゃああまりにも貧相じゃない? うちの顧客の水準わかってる?』

『あはは、冗談でしょ? これでやるつもり?』

 打ち合わせ中も容赦ない指摘が飛んでくる。しかもどれも的を射ているので、言い返すこともできない。

『少しお時間いただけますか?』

『うん、いいけど待つだけ待って何もないとかやめてね』

 にっこり笑う野迫川社長の顔がトラウマになりそうだ。

 すっかり人のいなくなった事務所で、私は栄養ドリンク片手にあれでもないこれでもないと作業を進めていた。

『まだやっているのか』

『御杖部長、すみません。まだもう少しかかりそうです』

 彼は私のところまで来るとパソコンの画面を見て『リンクスか?』と聞いてきたので、頷いた。

『どうだ、あいつ厳しいだろ』

『はい……まさか、ここまで厳しくダメだしされるとは思いませんでした』

 私が甘かったと言えばそれまでなのだが、力不足を感じる。

『前回までのパーティの内容を踏まえて、天川課長にチェックしていただいたりしたんですけどなかなかいい提案ができなくてですね……』

 天川課長いわく以前の担当者なら間違いなくOKが出ていただろうとのこと。しかし病欠の担当者に代わって野迫川社長が担当することになり、もうワンランク上のものを求められている。

『なるほどな、そういうときはひとつ目新しいものを入れるだけで、他のことはごまかせる。大きな目を引く何かが必要だ。何から何まで新しくする必要はないし、削れるものは削るもの大切なんだ。企画は足し算ばかり考えるな』

『なるほど……削るか……』

 それまで付け加えることばかり考えていた。

『これは、リッチモンドに戻って企画をするときにも役に立つ。だからお前にまかせたんだ』

 御杖部長がこの仕事を私にと言った理由を聞かされて少し意外だった。

『まさか、そんな先のことまで』
< 30 / 112 >

この作品をシェア

pagetop