俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「やつが野放しの間は俺も気が気じゃなかったからな。ただ初犯だから執行猶予がつきそうだ」

 彼が私の髪を優しく撫でる。こういう時の彼の手はすごく優しい。私は彼の手を取り頬をすりつけた。

「でもまたなにかあったとしても、これからも大輝さんが守ってくれるんでしょう?」

「あたりまえだろ。じゃあ早速いただこうか?」

「ん? 何の話ですか?」

 私が首をかしげると、彼は意地悪気に笑う。

「お礼だよ、お礼。ほら」

 ぎしっと音を立てて、彼がベッドの上に乗って、私の顔に近付いてくる。この場合の〝お礼〟が何をさすのかわからないほど子供じゃないが、わかりたくない。

「あの、今度準備しておきます」

「今がいい」

「そんな、子供みたいにわがまま言わないでください」

 顔をそむけたけれど、私の背後がすでにベッドボードで逃げ場はない。

「男はみんな好きな女の前だと子供みたいになるんだ。嫉妬もするし、褒めてもらいたい」

 じっと目を合わせて彼に言われると、なんとなく母性をくすぐられる。

 自分よりも大きな何でもできる完璧な男性なのに、願いをかなえてあげたい気持ちになる。

 どうしてこんな気持ちになるのか、今までの彼氏には抱かなかった感情に正直戸惑う。

 たぶん……それだけ大輝さんが好きってことなんだろうな。

 結局のところそうなのだ。彼の嫉妬もわがままもちょっと横柄な態度だって許して受け入れてしまうのは、私が彼を今までの誰とも比べられないほど好きだからだ。

「もう、しかたないな」

 でも恥ずかしくてそんなこと言えない。私はわざとぶっきらぼうな態度をとりながら彼の方に手を伸ばした。

 すごくきれいな顔。

 私は両手で彼の頬を包み込む。あらためて見ると本当に美しいと表現するのがぴったりな整った顔だ。

 彼は何も言わずに私にされるがまま……だと思っていたけれど、顔を横に向けて私の手のひらにキスをした。

「あっ……」

 彼はキスしながら、こちらに視線を向ける。それだけで体が熱くなる。

「なぁ、いつまで焦らすつもりだよ」

「そんなつもりじゃ、んっ」

 彼が私の指を口の中に含み、舌で丁寧に舐め上げた。耳に届く唾液の音が脳内にこだまするようだ。

「なあ、知ってると思うけど。俺主導権は自分で握りたい。だから今日は俺の好きにしていいか?」

 私の手に頬ずりしながら、そんなこと言わないで欲しい。ダメって言えないから。
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