俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
式直前になってこんなことになるなんて。
私がもう少し早く気がついていたら……もっと早い段階でなんらかの手立てができたかもしれないのに。
自分を責めて責めて、その出来事は私の心に追い打ちをかけるようにダメージを与えた。
その日駅に向かい歩いている私の目に入ってきたのは、笑顔で私にむかって手を振っている野迫川社長だった。
「元気? って聞くだけ野暮か。ちょっと飲みに行かない?」
「でも、私」
正直昼間のこともあり、そんな元気もなかった。しかしそんな私の気持はお構いなしに彼は強引に私の手を引いて歩きだした。
「元気のないときはお肉でしょ!」
そういった野迫川社長が私を案内したのは、焼き肉店だった。
個室で高級なお肉が楽しめるという触れ込みで紹介でないと店内に入れないという有名店だ。
「こんなお店につれてきてもらって、いいんですか?」
「いいの、いいの。僕小心者だからひとり焼肉とかできないタイプだから」
わざとおどけて見せる彼の様子に。思わず笑ってしまった。ずっと色々と考えてばかりいたので、久しぶりに何も考えずに笑った気がする。
「うんうん、笑っていたほうがいいよ。ほら、僕のおごりだから何でも食べて」
「はい。じゃあA5ランクのいっちゃいますね」
「おーいいね、今日はふたりで牛一頭いっちゃうか」
顔を見合わせて笑い合う。私は難しいことは忘れて純粋に野迫川社長との食事を楽しんだ。
なにひとつ解決したわけではないけれど、間違いなくこの瞬間私の気持ちは軽くなっていた。
お腹がいっぱいになる少し歩こうかという話になる。
駅まで遠回りして公園を歩いていると、野迫川社長が急に足を止めた。
「飛鳥ちゃん、大輝なんかやめて、俺のところ来ない?」
「ふふふ、引き抜きですかぁ?」
少し酔っていた私は、これまでと同じように軽い返事をした。しかし振り向き彼の顔を見てそれが冗談ではないということを知り、戸惑う。
「仕事のこともそうだけど、大輝から俺に乗り換えない? 僕なら君にそんな顔させない」
彼との距離が急に狭まり、右手を取られてぎゅっと握られた。
当たり前だけれど、大輝さんとは違う大人の男性の手だ。
「ここ最近、すごくつらそうだよ。見てられない。リッチロンドに戻るくらいなら違う業種になるけど、僕のところで働くのも君なら楽しめると思う。それに……」
「大輝さんのお見合い相手のことですか」
目を伏せて言いづらそうにしていた野迫川社長の代わりに言った。
私がもう少し早く気がついていたら……もっと早い段階でなんらかの手立てができたかもしれないのに。
自分を責めて責めて、その出来事は私の心に追い打ちをかけるようにダメージを与えた。
その日駅に向かい歩いている私の目に入ってきたのは、笑顔で私にむかって手を振っている野迫川社長だった。
「元気? って聞くだけ野暮か。ちょっと飲みに行かない?」
「でも、私」
正直昼間のこともあり、そんな元気もなかった。しかしそんな私の気持はお構いなしに彼は強引に私の手を引いて歩きだした。
「元気のないときはお肉でしょ!」
そういった野迫川社長が私を案内したのは、焼き肉店だった。
個室で高級なお肉が楽しめるという触れ込みで紹介でないと店内に入れないという有名店だ。
「こんなお店につれてきてもらって、いいんですか?」
「いいの、いいの。僕小心者だからひとり焼肉とかできないタイプだから」
わざとおどけて見せる彼の様子に。思わず笑ってしまった。ずっと色々と考えてばかりいたので、久しぶりに何も考えずに笑った気がする。
「うんうん、笑っていたほうがいいよ。ほら、僕のおごりだから何でも食べて」
「はい。じゃあA5ランクのいっちゃいますね」
「おーいいね、今日はふたりで牛一頭いっちゃうか」
顔を見合わせて笑い合う。私は難しいことは忘れて純粋に野迫川社長との食事を楽しんだ。
なにひとつ解決したわけではないけれど、間違いなくこの瞬間私の気持ちは軽くなっていた。
お腹がいっぱいになる少し歩こうかという話になる。
駅まで遠回りして公園を歩いていると、野迫川社長が急に足を止めた。
「飛鳥ちゃん、大輝なんかやめて、俺のところ来ない?」
「ふふふ、引き抜きですかぁ?」
少し酔っていた私は、これまでと同じように軽い返事をした。しかし振り向き彼の顔を見てそれが冗談ではないということを知り、戸惑う。
「仕事のこともそうだけど、大輝から俺に乗り換えない? 僕なら君にそんな顔させない」
彼との距離が急に狭まり、右手を取られてぎゅっと握られた。
当たり前だけれど、大輝さんとは違う大人の男性の手だ。
「ここ最近、すごくつらそうだよ。見てられない。リッチロンドに戻るくらいなら違う業種になるけど、僕のところで働くのも君なら楽しめると思う。それに……」
「大輝さんのお見合い相手のことですか」
目を伏せて言いづらそうにしていた野迫川社長の代わりに言った。