【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 クラークは黙って、隣のオリビアを見下ろしてくる。
(え、と……。もしかして、間違った行動をしてしまったのかしら……)
 クラークがオリビアのことを、女性として見ていないことを、オリビア自身もなんとなく感じとっている。それでもこのようにされたら、腕をとれという意味であると思ってしまうだろう。
「少し、縮んだか?」
「え、と……?」
「いや、少し背が低くなったような気がするのだが」
 それはクラークの背が伸びたのでは、と思ったオリビアであるが、彼の成長期もとっくに過ぎているはず。
 だからといって、オリビアも背が縮むような年齢でもないはずだ。
「あ……。今日は、ヒールの低い靴を履いているからですね」
 八か月前のパーティーでは、少しでも大人っぽく見られるようにと、あれこれ作戦を練った。練った結果、カトリーナご推薦の「ヒールは高いけれど安定している靴」を履くことによって、クラークと理想の身長差を保とうとしたのだ。
 だが今日は、ポリーの屋敷でお茶を嗜んできただけ。歩きやすい靴を選んでしまったため、パーティーのときよりも背が低く見えたのだろう。
「そうか……」
 クラークの動きはどことなくぎこちない。
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