断る――――前にもそう言ったはずだ
 モニカは妃で。エルネストをサポートすることが本来の役割で。
 それなのに、現状は彼の足を引っ張ってばかり。
 どうしたって申し訳無さを感じてしまうのは仕方がない。


「今日の予定は?」

「本日は、数日後に控えた隣国大使の来国に備え、式典の段取りと衣装の打ち合わせ、それからお出しする食事の内容や、滞在中の視察先の調整の確認などを行う予定です。
また、式典に合わせて王都に来ている貴族の来訪が数件ほどございます」


 モニカは妃として、多忙な日々を送っていた。
 立場が立場だけに、文官のように政策の立案をできるわけではない。だが、王室の顔として、様々な人々と会っているのだ。


「貴族? 僕は聞いていない。相手は誰だ?」


 本来ならば、貴族たちはモニカよりも王太子であるエルネストに会いたがる。彼らがモニカに会うのは、単にエルネストの時間が取れないからだ。


「まあ……わたくし、てっきりエルネスト様はご存知だと思っておりましたわ。連絡が行き届いておらず、申し訳ございません。
本日いらっしゃるのはドゥルガー侯爵とカステルノー伯爵、それからレディアン子爵ですわ」


 この手の話が事前にエルネストに通っていないのは珍しい。モニカはそっと首を捻った。


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