※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。

「く、比べられませんよ……」
「ほら、にゃにゃ丸と同じ黒髪ですよ?触ってみてください」
「ふふっ。やだ静流さんってば!!」

 にゃにゃ丸を引き合いにだしてふざける静流とじゃれあうことで、紗良はようやく元気を取り戻していった。すると、今度は打って変わって真剣な眼差しで額同士をくっつけられる。

「紗良さん、商売に最初から完璧な正解はありません。考えに考え抜いて初めて、関係者全員が納得のできる答えにたどり着けるんです」

 紗良より多くのビジネス経験のある静流ならでは助言だった。
 真摯なアドバイスを受け取り、紗良は改めて自分のしたいこと、望むことを整理した。

「静流さん、ありがとうございます。どうするのが一番良いか、弥生さんに相談してみます」

 次の日の夜。紗良は勇気を出してスピカの扉を叩いた。

「あれ、紗良ちゃん?」
「あの、弥生さん!!紅茶フロートのことなんですけど……!!」
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