※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。
「し、静流さん……電話が……」
「無視していいです」
「あう、っ……!!」
喉笛がやわやわと甘噛みされ、一瞬にして意識を引き戻される。鳴っているのは静流の仕事用のスマホだ。業務時間外とはいえ、真面目な静流が無視しろと言うなんて驚きを隠せない。
ところが、無視を決め込もうにも電話は何度も切れては掛かってきた。
五回目の着信がきた時、とうとう静流は舌打ちするとスマホを手に取り自室に入っていった。
(ど、どうしよう……)
このまま電話が終わるのを待っていればいいのか、紗良は身の置き場に困った。
数分後、電話から戻ってきた静流は紗良の着衣の乱れを慌てて整えた。
「すみませんでした。こんな……襲いかかるような真似を……。どうかしていました」
「あ、いえ……。その……大丈夫です」
今夜は続きをする気がないのは明らかだった。
謝るくらいならイイところで寸止めされて狂おしいほどに火照った身体を、今すぐどうにかして欲しかった。