※エリート上司が溺愛する〈架空の〉妻は私です。

「おはようございます、紗良さん」
「お、おはようございます……静流さん」

 翌朝、紗良は静流に腕枕の上で目覚めた。昨夜いつ眠ったのかは定かではない。浴衣はキチンと着ていたので、おそらく静流が着せてくれたのだろう。

「朝食の前に大浴場に行きませんか?」
「はい……」

 紗良は静流に言われるがままトボトボと大浴場について行った。

(なんか色々凄かった……)

 昨夜のことを思い出し紗良はぼうっとしながら温泉に浸かった。キスしかしてないのに三回ぐらい意識を飛ばしてしまった。
 開けてはいけない禁断の扉を開いてしまったような気さえする。その先のことを考えると身体が縮こまる。
 
(最後までしたらどうなってしまうんだろう……)

 もう考えただけでのぼせそうだった。
 
 大浴場から戻り部屋食での朝食を済ませると、せっせと帰り支度を始める。静流はソファに座り紗良の身支度が終わるのを黙って待っていた。

(どうして昨日あれだけのことをしておいて涼しい顔をしていられるんだろう……)

 紗良が恨めしげに静流の横顔を眺めていると、昨夜のように膝がポンポンと叩かれた。

「座りますか?」
「座りません!!」

 顔を真っ赤にしながら拒絶すると、静流は声を出して笑った。

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