私を甘やかしてくれる人いませんか?
正志は未来と一緒に未来の家に来た。
玄関で迎えに出た母に正志は直立不動で頭を下げた。
「この度は申し訳ございません。私未来さんと交際させていただいております草薙 正志と申します。」
「・・・ここでは何ですから、中へどうぞ。」
母は硬い表情のまま正志を居間に通した。
居間では父が腕組みをしてそっぽを向いて座っていた。
正志は父に向って座布団をよけ、土下座をして言った。
「この度は私のせいで未来さんならびにご両親に不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。」
正志はずっと頭をあげなかった。
「どんなに謝ってもだめだ。帰れ。未来とは別れてくれ。」
「お父さん・・・」
父は言い出したら聞かない頑固者。未来は焦った。そんな未来の顔を見て母が父に言った。
「お父さん、まずは正志さんの話を聞きましょう。それからね・・・」
母は父をなだめるようにやさしくそう言った。父は無言だった。
「ありがとうございます。私には約3年付き合った女性がおりました。でも結婚の約束はしておりませんでした。最近になり、彼女の変な癖が気になり、実は距離を取っていました。その癖とは、被害妄想というか、自分に都合のいいようにあることないこと他人に言うのです。周りの人を誹謗中傷することもありました。彼女は僕のことは決して悪く言わず、悪いのは全て他の人だと言うのです。私がしっかりと彼女と話して別れていればよかったのですが、中途半端なまま未来さんとお付き合いを始めてしまいました。本当に申し訳ございません。これから彼女が今後皆さまに手出しをしないようになんとしてもいたします。ですから、未来さんとのお付き合いを続けさせてください。お願いいたします。」
正志はまた、頭を深々と下げた。
「だめだ。未来は私の可愛い娘だ。ちゃんと別れてもいないのに娘と付き合うなんて言語道断。そんな危なっかしい男には未来と付き合わすわけには行けない。」
未来の父はこっちを向いて、正志を睨んだ。