大江戸ガーディアンズ
「あ、舞ひ……胡蝶姐さん」
羽おとが縋るような目で見てきた。
「一階の廻し部屋の妓が……」
羽おりも泣きそうな顔で云う。
「今宵初見世の『廻し』の妓が……」
「着物がないゆえ、外に出られなんしって……」
玉菊の禿・たまゑとたま乃が声を詰まらせる。
「仕事」に慣れた妓なら、恥より命で裸であろうとなんだろうと飛び出してくるであろう。
美鶴は周囲を見渡してお内儀を探した。
おそらく、方々駆けずり回っているに違いない。
「それに、羽風ちゃんもおりんせん」
「そもそも、夜見世で見た者はだれもおらでなんし」
「二階の部屋は皆んなで手分けして、すべて見なんしたけど」
「羽風ちゃんだけが消えてしもうてなんし……」