大江戸ガーディアンズ

——羽風も初見世の()でありまするが……

(とき)が迫っている。火元の二階はもうだめだ。

——されども、一階であらば、まだ……


そのとき、頭から真っ黒な布を被った「牛若丸」が見世の中に入っていくのが見えた。

美鶴は我が姿を見た。

本日は、振袖新造ではなく「遊女」だ。
何枚も重ね着をしていた。

いきなり、重い前帯をばさりと外した。

先刻、彦左の手を縛るために一本解いて兵馬に渡したため、一番上の着物がはらりと落ちた。


そして、美鶴は自らもまた「牛若丸」になりて、見世の入り口へと向かった。

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