サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

***

「酒井、今日はもう上がるから、酒井も早めに上がって」
「あ、はい」
「それと、後で休む日を連絡入れるから、調整を頼む」
「了解です」
「お先に」
「お疲れ様でした」

十九時少し前。
珍しく早い時間に退社し、クリニックへと向かう。

中番勤務の彼女が退勤する時間だから、クリニックから出て来るのを入口の壁に寄り掛かり待っていると、程なくして彼女が現れた。

「お疲れ」
「どうしたんですかっ?!」

出待ちしていた俺に気付き驚いた様子の彼女。
そんな彼女に歩み寄り、彼女の手を掴む。

「ご飯でも?」
「……はいっ」

ほんの少しエタノールの香りを纏った彼女と肩を並べて歩く。
すれ違うスタッフが会釈し、隣を歩く彼女は少し恥ずかしそうに会釈する。

***

「あのっ………」
「ん?」
「ここはレストランではないですよね?」
「……だな」
「来るなら来ると事前に言って下さいっ!何も用意してないし、普段着なのに~~!」
「だからいいんだよ」
「え?」
「親にも言ってないし、彩葉を内緒で連れて来たかったから」
「えぇ~~何でぇぇ~~っ」
「フフッ」

お互いに気を遣わずに軽く食事でもしようと思って。
恋人を紹介出来る最後の機会だと思うし、彼女と過ごせる残り僅かな時間だから。

***

両親は彼女の訪問に驚きつつも嬉しそうだ。

最初で最後の親孝行。
初めて実家に女性を連れて来たのだから。

元カノでさえ、連れて来たことはない。
だから、使用人も含め、彼女のサプライズ訪問は大歓迎されたようだ。

< 101 / 142 >

この作品をシェア

pagetop