サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

「あら郁、珍し……」

彼の背後に隠れていた私は、これ以上隠れるのは失礼かと思い、静かに彼の背後から一歩右へと移動した、次の瞬間。

「きゃぁ~~っ!彩葉さんねッ?!いらっしゃい!!」
「は、初めましてっ……、環 彩葉と申します」
「いいのいいの、名前何て自己紹介しなくても知ってるからっ!こっちこっち、こっちに座ってぇ~?」

ふんわりと緩く巻かれたセミロングの髪が上品さを際立たせている少し小柄の女性が駆け寄って来た。
そして、私の空いている方の手を掴むと、ダイニングテーブルの空いてる席へと誘導する。
彼のお母様のようだ。

ちょうど食事中だったようで。

「市村さん、俺らの分もお願いします」
「はい、承知しました。直ぐご用意致します」

彼が私たちの分の夕食を頼むと、お母様のテンションがより一層高くなった気がする。

お父様は彼をもう少しダンディーにした感じで、手入れが行き届いている顎髭がダンディーさをより強調しているのか、父親世代にはとても見えないほどに洗練されたお洒落感がハンパない。

「いらっしゃい」

やだ、声までダンディーだよ。
かなり低めで渋みがあって、洋画の吹き替えで聞いてるような心地よさがある。

「突然の訪問で申し訳ありませんっ。私も先ほど知らされたばかりで、何もご用意出来ず、またこのような格好で申し訳ありませんっ」
「いいのいいの、そんなこと全然気にしないから!パジャマだろうが水着だろうが全然OKよっ!!」
「へ?」

うわぁ~……。
以前に彼が、かなり『Going my way』な母親だと言ってた意味が漸く分かった気がする。
思考が面白い方向に向いてる方だ、きっと。

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