サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
***
香港空港に到着すると、財前家が手配した運転手が待機していた。
何から何までスマートすぎる。
これぞまさしくお姫様状態。
そして、その送迎車が停止した場所は……。
超有名な高級ホテル。
「ここに泊まるんですか?」
「ん」
「………」
「ホテルだけど、ホテルじゃないから」
「へ?」
「上層階のスウィートルームを買い上げてるから、ホテルだけど自宅だから」
「………?」
「ホテルコンドとか、ホテルレジデンスとかいうやつだよ。分からなかったらググれ」
「……はい」
送迎用のドライバーはキャリーケースを下ろすと会釈して車を発進させた。
……本当にここに泊まるらしい。
***
彼が『自宅』だという部屋は、香港の百万ドルの夜景が一望できる角部屋。
超高級なホテルのスウィートなだけあって文句のつけようがないくらい贅沢な設えになってる。
アロマが焚かれているのか、入った瞬間爽やかな花の香りがした。
「疲れただろ。先にシャワーするか?」
「え?」
「あ、いい。俺が先に入って来る。ゆっくり夜景でも堪能してろ」
「……はい」
壁一面が窓ガラスになってるから、夜景の中にいるみたいで。
窓際のソファーから一歩も動けない。
ガラスに張り付く勢いで魅了されていると……。
「一緒に入るか?」
「ッ?!」
突然、耳元で呟く彼。
冗談だって分かってるけど、ガラス越しの彼はちょっと危険な香りを纏ってる感じに見える。
「明るい所で見たら幻滅しますよ、きっと」
「へぇ~。暗かったらいいのか?」
「………」
軽くあしらうつもりで言ったのに、彼の方が何枚も上手だ。