サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
強迫性障害の彼にとって、数足あるだけでも苛々モヤモヤするのだろう。
左右の紐の長さを揃えないと気が済まないという拘りがあるし、棚に陳列されている靴の向きとかも多分気になって仕方ないと思う。
だからこそ、連れて来たかった。
その呪縛から少しでも解放する手助けがしたくて。
精神科は専門外で、医大時代に多少は勉強したけど、掘り下げてない分分からないことも多い。
彼に精神的なアプローチが必要だと知ってから、専門書を沢山読んだ。
認知行動療法という治療法が有効で、心理学を用いて、曝露反応妨害(やらないと気が済まない拘りをわざとしないで行動を妨害する方法)を繰り返すことで回復するらしい。
彼の拘りを受容するのではなく、あえて『させないで我慢させる』ことが近道らしい。
「何軒か回って、シューズを買うのが今日のミッションです!」
「………」
「最初は大変だと思いますけど、私が付いてますし、頑張ったらご褒美あげますから」
「ご褒美?」
「はい」
「どんな?」
「う~ん、どんなのがいいですか?何か欲しいものでも買いましょうか」
少しはやる気があるみたい。
完全にシャットアウトさせるかと思ったけど、改善の見込みは十分あるかな。
「さぁ、行きましょう!」
彼の手を取ってずんずんストリート内を突き進む。
カラフルなシューズが陳列されていて、ブランドものもあればノーブランドのものもあり、オーダーメイドでその場で手を加えられるショップまである。
恋人同士でオリジナルシューズを作るのが人気らしく、結構若いカップルが並んでいた。