サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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「郁さんっ、苛々したら、私を見て下さいっ!……ね?」
俺の手を引き、強引にスニーカー街を闊歩する彼女は、『わぁ、可愛い~』と何度も言いながら時折振り返って俺に声を掛ける。
俺の強迫性障害を治そうと、彼女なりの優しさなんだろう。
医師だから色々と調べたようで、俺の心配ばかりしている。
今朝だって、点眼薬と内服薬の心配を真っ先にしていた。
旅行先に来ても忘れてないことに、有難い一方、申し訳なさも募る。
肉体的にも精神的にも健康だったら、彼女を悩ませたりしないのに。
***
「お揃いで買いましょうよっ!」
「俺もか?」
「はい!」
某ブランドショップの限定品が気に入ったようで、『店員にカップルで購入は如何?と勧められた』と伝えると、買う気満々のようだ。
俺の靴のサイズをしきりに聞きたがってる。
「欲しいものがあるなら、好きなだけ買ってやる」
「え?」
「靴だけでなく、何でも買ってやる。……せっかく香港まで来たんだから」
俺の言葉に驚いた彼女はポカンとした表情で俺を見上げた。
「とりあえず、まずはコレだな」
「………はい」
「我要買它」(訳:買います)
「謝謝你」(訳:ありがとうございます)
店員に意思表示すると、
「郁さんっ、履いていきましょっ!」
「は?」
「コレ履いてデートですっ」
「………ハイハイ」
俺のサイズを手にして戻って来たスタッフに『そのまま履いていく』と伝え、会計を済ませて店を出た。
履いてた靴をドライバーに預け、違う場所へとウィンドウショッピングをしに……。