サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
他愛ない会話がこんなにも幸せだと気付かせてくれた女性。
何事にも前向きで、一生懸命で。
いつでも人のために努力を惜しまず、自分の幸せを二の次にする。
俺よりももっと楽に付き合える男なんて沢山いるのに。
愛らしく弾ける笑顔がチャームポイントで。
仕事モードになると一変して、真剣な表情の彼女は凛としている。
気安く触れたら罰が当たりそうなほど魅力的だ。
けれど、他の男には触れさせたくないし、手の届く場所にいて欲しい。
それが、とてつもなく我が儘で贅沢な願望だと分かっていても。
「郁さんっ、焼けました!」
「ん、サンキュ」
「眼が痛みますか?」
「いや」
「さっきから眼をしばしばさせてますよ?」
「原因はコイツらだ」
「あ、……すみません」
風下だから煙が俺の方に全部来ていて、眼が燻されている。
「そっち座ってもいいか?」
「はい、もちろん!」
グラスを手にして彼女の横に移動し、頬にキスをする。
「ッ?!」
「焼いてくれた報酬」
「っ……」
「俺には?」
「はい?」
「スニーカーストリートでのご褒美は?」
「あ」
「忘れてただろ」
「……はい」
「で?何してくれんの?」
「え……」
テーブルに頬杖をついて彼女を煽る。
さて、何をしてくれるのやら。
「ほっぺにチューじゃダメですか?」
「やだね」
「じゃあ、おでこにチュー」
「却下」
「じゃあ、残ってるところ一つしかないじゃないですか」
「へぇ~」
彼女のご褒美とやらは『キス』らしい。
ハグでもいいのに。
「ん」
わざと目を瞑って彼女の方に顔を近づける。
俺の頬に手を添えた彼女が近づいて来るのが気配で分かった。
優しく重ねられた唇。
彼女が離れる、その瞬間。
俺は彼女の後頭部を支え、太陽に負けないくらい熱いキスを貰った。