サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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十八時ニ十分発の便で帰国する予定で、空港に到着したのが十七時。
搭乗手続きをすませ、ショップを幾つか回り、土産を買う。
「もういいのか?遠慮せず、好きなだけ買っていいぞ」
「と、言われても持って帰り切らないですから」
「家まで届けさせるから心配要らないぞ」
「えっ……」
「自分用に買ったか?」
「あ」
「ほら、今のうちに選べ」
病院のスタッフや医局の先輩用に幾つか選んでいたが、肝心の自分用を選んでる素振りがなかったから。
お菓子を吟味している彼女を放置して、俺は彼女好みのお茶を購入した。
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「これら全部追加で頼む」
「はい、承知しました」
ASJのスタッフに荷物を預け、俺らは搭乗口へと向かった。
彼女が化粧室に行っている間にスマホで『キーケースを贈る意味』を検索した。
「なるほど」
『いつも一緒にいたい』……か。
心の奥がぎゅっと締め付けられた。
このまま、彼女の傍にいていいのだろうか?
彼女ならもっと楽な人生が歩めるはず。
医師だから、病気や怪我をしてても直ぐに状況を把握し、現実を受け止められるだろうが。
視力を失った恋人との未来を想い描いているだろうか?
多分、考えてないはずだ。
例え、考えたとしても、何とかなると思う性格だから。
彼女にそんな思いはさせたくない。
いつでも前を見て、明るく愛らしく笑ってて欲しいから。
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「彼女にコンフォーター(羽毛掛け布団)をもう一枚」
「承知しました。只今お持ち致します」
歩き疲れたのか、彼女は熟睡している。
リゾートワンピースにカーディガンを羽織っただけだから、機内の温度で冷え過ぎてしまう。
静かにシートを倒し、彼女の寝顔を見つめて……。