サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

*****

香港旅行から帰国して数日後。
彼は仕事のため、海外出張中。

仕事はいつも通りにこなすけど、毎日彼を見ていたのに急にいなくなったから何だか寂しくて。
日課になっていた診察もないし、空港内で見かける仕事オンモードの彼もいなくて。
すっかり、いることが当たり前になっていたようだ。

だからと言って、何もせずボーっと過ごすのは馬鹿げてる。
時間を無駄にしないためにも、自分に出来ることをしなきゃね。

彼のご両親に許可を頂き、彼の主治医から彼の診療記録を取り寄せた。
四年前からの記録を見ると、検査にしても治療にしても、やれることはやってある。
それでも良くならないとなると、やはり手術以外は無さそうだ。

葛城先輩から借りている論文を書いた教授宛てに意見書と嘆願書を作成した。
それに彼の診療記録のコピーデータを添付して教授宛てに送る。
……私に出来ることはこれくらいしかない。

***

もう四日も連絡がない。
就航路線を増やす為にあまり電波状況がよくない所に行くと言ってたから、返信がないのは仕方ないけど。
それでも、一日一回くらいは連絡してくれてもいいのに。

メッセージを送ったのに既読にもならない。
電話を掛けても、知らない女が『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません』と勝手に出る。
頼んでもいないのに。

左手薬指に輝く指輪を指先で触れ、『指輪の精さ~ん、出ておいで~!』と何回言ったことか。
魔法のランプじゃないんだから、出て来るはずないんだけど。
それでも、頼まずにはいられないほど、彼を欲してる自分がいる。

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