サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
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彼と別れ、あっという間に半月が経とうとしていた。
彼は相変わらず仕事に忙殺されているようで、酒井さんの話だと今月も休みなしで働いているらしい。
ダメだと分かっていても、彼を止めることが出来ない。
医師として、過労が一番悪いと分かっているのに。
別れる前から彼との距離は離れ気味だったこともあるし、私が今も指輪を外さずにいることで、周りのみんなには気付かれていないようだ。
「環先生っ、財前さんですよ!ほら、エスカレーター!」
「……ホントだ」
ターミナル内の巡回をしている彼を遠目で捉え、安堵する。
まだ視力を完全に失ったわけじゃないのだと。
「行こう」
「えぇ~まだ見たい~~」
「油売ってると院長に怒られるから」
「……はぁい」
手違いで納品された医療物資を別の分院に転送するため、ターミナル内の宅配業者へと向かっていた。
一瞬でも彼を見れただけで幸せを感じた。
まだ私の心は彼を住まわせているようだ。
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「先輩っ、どれですかッ?!」
「挨拶くらいしろ」
「あ、はいはい、ご無沙汰してます」
「何だその抑揚のない挨拶」
「もうっ、いいから早く出して下さいっ!!」
医局の葛城先輩から連絡を貰い、久々に医局を訪れている。
二か月ほど前に海外の眼科外科医に送った嘆願書の返信が来たと。
「ん、これだ」
「ありがとうございますっ!」
空港病院宛てだと返信すら貰えないかもしれないと思って、医局の葛城先輩経由で送っておいた。
だから、こうして先輩のもとに返信が来たという流れで。
「どうだ?良さそうな返事か?」
「…………はい、引き受けてくれるみたいです」
「良かったな」