サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

論文が発表されたのは今から五年前。
彼が眼窩腫瘍だと診断された前の年だったこともあり、日本ではそれ以降の画期的な治療法は開拓されていない。

だが、もしかしたら新薬が研究されているかもしれないし。
もしかしたら、最先端の機械が導入され、手術の成功率が大幅にアップされているかもしれないし。
何より、医師の技術が向上しているのでは?と思ったのが嘆願書を書こうと思ったきっかけだ。

彼の診療記録と彼の経歴も添付しておいたお陰で、スーパーDr. の心を動かしたようだ。
今年導入した最新型の医療機器があることと、術後のケアが飛躍的に進歩している点が回答書に書かれている。

以前は五%ほどの成功率だったそうだが、今では四十%ほどにまで増えているという。

それでも、手術には絶対はない。
失明する恐れもあるし、術後が安定せず、一時は回復しても再び視力が悪くなることもあるという。

『神様』が存在するなら、あの世に行った時にクレームしまくってやるんだから!!

***

自宅に帰り、シャワーを浴びる。
念入りに髪を洗い、手入れをする。

もふもふのニットワンピースを着て、丁寧にメイクを施す。
別れてから初めて、彼に会いに行くからだ。

会う約束をしてあるわけじゃない。
いつ帰ってくるのか分からないけど、突撃訪問をしようと思って。

この回答書と私からの紹介状を手にして……。


久しぶりに訪れた彼のマンション。
いつ来ても心がうっとりするようなセレブ仕様。
高層階はワンフロアにニ~三世帯しか住めない仕様になっていて、防音設備も完璧だから静けさに心地よいBGMが流れている。

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