サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

彼女から手渡された書類に目を通す。
彼女が言っていたように、海外での手術成功例も格段に増えているようだ。

それと、彼女が彼女の言葉で医師宛てに何かを伝えたのだろう。
彼女の気持ちを理解し、『貴女と貴女の恋人の夢を叶えたい』と記されている。

どんなことを記したかは分からないが、想像は出来る。
俺の夢というキーワードを考えれば、自ずと見えている。

彼女がありとあらゆる努力をして掴んだ機会。
それも、仕事をしながら専門外の勉強もして、その上こんな形になるまで沢山の時間を費やしたことも。

彼女が別れた恋人の為に今でも心を尽くしてくれているのに。
俺は何もしていないことに腹立たしくて。

俺に出来ることとは……。




何日も何日も考えて。
色んな状況を想定して自分に言い聞かせてみる。

例え、手術が上手く行かず、視力を失ったとしても、何もしないでいても結果は同じだと思うから。

いずれ訪れると覚悟は出来ているし、その為に点字も習い始めて、家の中もアイマスクをして過ごすようにしている。
物の場所を見ずに把握しておこうと思って。

仕事は指示を出す形に移行する予定で、酒井に処理の仕方を教えてある。
だとすると、悩む必要はないのか……?

***

遅番勤務が終わった彼女は疲れた様子で京急線に乗り込む。
彼女に気付かれないように後をつけ、隣の車両に乗り込み、そっと彼女の様子を盗み見する。

彼女は鞄から分厚い医学書のようなものを取り出し、電車に揺られながらもそれをずっと読んでいた。

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