サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
「この俺が、すんなり言うことを聞くとでも思ったか?」
「なっ……」
彼女の腕を引き寄せた反動で体勢を入れ替え、彼女をソファーに押し付けた。
ただ引き寄せただけでは彼女が俺に覆いかぶさるようになってしまうため、見下ろされることが許せない俺は脳内で計算した上で彼女を油断させた。
「酒井が頼もうが、社長が頼もうが、そんなことはどうでもいい。俺に関わろうとするな」
「……私にとっては、これが仕事です」
「んなことは分かってる」
「自分の目の前で誰かが事故に遭えば助けますし、戦時下で怪我を負った人がいれば、例え敵であろうとも助けるのが医師の務めです」
「俺が大怪我を負ってるように見えるか?」
「……はい。少なくとも、私には。……ここに大きな傷を抱えてるはずです」
「っ……」
彼女は俺の胸に指を突きつけた。
「お前に何が分かる」
「分かりません。……だから、診察したいんです」
「………話にならん」
会話が嚙み合わないとはこういうことだ。
俺の気を逆撫でするかのように、彼女は一歩も引こうとしない。
どうしたらいいのかと考えていた、その時。
空いている方の手を俺の首に巻き付け、抱きついて来た。
「大したことは出来ませんが、寄り添うことくらいは出来ます。問題の解決にもなりませんし、全ての病気や怪我が治せるわけじゃないですけど、声に出して口にすることで少しでも心の傷が癒せるのならいつでも聞きますから」
「………」
「勿論、守秘義務は厳守します。……ご安心下さい」