サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)
彼の手だけでも、後ろ姿だけでも、耳に届く声だけでも、心がきゅんと痺れる感覚になるってことは…。
多分、私の中で彼はもう『好き』の域に達してるはず。
声に出さないから自覚してないだけで、本当はもう分かってる。
昨日三カ月ぶりに元彼をチラッと見たけど、何とも感じなかった。
エスカレーターに乗ってる姿を遠目で見ただけだけど、同じようにエスカレーターに乗ってる財前さんを目にしたらドキッとするもの。
仕事をしてる時の厳しい表情の彼を目にする度に、同じ高みに行きたいと思うし、彼の背中を見るだけで幸せを感じられるのは、きっと閉ざしたはずの心の部屋がまた開いたんだと。
誰も入れないようにしてたのに。
いつの間にか……。
自分の気持ちに気付いてしまった、今。
この気持ちに見て見ぬふりは出来ない。
というより、もう隠しきれないと思うから……。
車は静かに発進した。
私が何も言わないから、きっと私のマンションに向かってるはず。
信号待ちで停止している車内。
何て声を掛けていいのか分からず、ハンドルを握る彼の横顔を盗み見していると。
「何か言いたいことがあるなら、ハッキリ言え」
「………はい」
ほらね。
私の心なんてお見通しみたい。
「財前さんの家で話でもしませんか?」
***
今日何度目か分からない緊張を味わう。
何度も来ているはずなのに、初めて来た時より緊張した自分がいる。
「何か飲む?」
「あ、珈琲でも淹れましょうか?」
「じゃあ、……頼む」
「はい」