サイコな本部長の偏愛事情(加筆修正中)

「『フィアンセ』役が私でも嫌じゃないってことですか?というより、私でよかったと聞こえるんですけど?……ん?違う??」
「フッ、……どういう頭してんだ」
「………ん?」
「じゃあ、俺からも聞いていいか?」
「はい、どうぞ遠慮なく」

両手を膝に乗せ、真摯に向き合う。
私に出来るのは真摯に答えるくらいだから。

「何故、俺を『フィアンセ』だと?」
「………あの状況を助けてくれる唯一の人に思えたから」
「じゃあ、俺らの噂が広まって、どういう心境になった?」
「……申し訳ない気持ちです。私が口走ったばかりに……」
「そうじゃなくて、……自分の恋人というか婚約者が俺でも嫌だと感じなかったか?」
「……全然っ!」
「へぇ~」

彼は口角をキュッと持ち上げ、妖美な笑みを浮かべた。
そして、ソファーに手をつき、顔をグッと近づけて……。

「俺のこと、………好きか?」
「っ……」

ストレートすぎるっ!!
『はい、好きですっ!』って答えそうになったよっ。
言葉にしなくても、たぶん表情でバレてる気がする。
ううん、絶対バレてる。
だって……。

「彩葉」
「っ……」

ほらっ!
耳元にわざと囁きかけてる!
しかも、下の名前を優しい声音で!!

「耳まで真っ赤だぞ」
「なっ…」

膝の上に置いておいた両手で両耳を塞ぐと、その手にそっと手を添えて……。

近いっ!
近すぎるって!!
美顔が目の前にどアップなんですけど!!
これ以上は近すぎて無理~!
ぎゅっと目を瞑った、次の瞬間。

唇に柔らかい感触を感じた。
手に添えられた手が後頭部へと移動し、キスを誘導するかのように支えられて。

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