【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 アルベティーナの話を聞いたコンラードは目を伏せる。一体何が起こったというのだろうか。
「お父さま。今日は本当にどうされたのですか?」
 アルベティーナはコンラードの腕にしがみついた。こんなに苦しそうに顔を曇らせている父親を見たことがない。
「ティーナ……」
 コンラードが娘の名を呼ぶ声は弱弱しい。
「父上。本当にどうされたのですか?」
 エルッキもこのような彼を目にしたことが無いのだろう。じっと目頭に力を入れ、不安そうに目の前のコンラードを見ている。それはセヴェリも同じだった。つまり兄弟三人、なぜコンラードがここに来たのかという理由を知らないのだ。
「不安にさせてしまって、すまないな……」
 コンラードがアルベティーナの手に触れた。久しぶりに触れる父親の手は、少し痩せたようにも見えた。ルドルフの大きくてごつごつとしたぶ厚い手とは異なっている。そして、父親の手を思わずルドルフと比較してしまったことに、アルベティーナは気付かれぬように軽くかぶりを振る。コンラードの手によって、彼を掴んでいた手を離されてしまったため、行き場を失った手を膝の上で揃えた。
 コンラードは大きく息を吐いてから、言葉を続ける。
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