【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 二年前に参加したお茶会で唯一アルベティーナを気遣ってくれた同年代の女性。正確には彼女の方が年は一つ上だが、それもあってオティリエは頼れる存在なのだ。
「それで? 今日は突然会いたいだなんて、どんな風の吹き回しかしら? シーグルード殿下の婚約者候補の話も聞いているけど。その件が関係あるとしか思えないのだけれど」
 こういった鋭いところも彼女の良さでもあるし、その話が既に彼女の耳にまで伝わっていたことに、アルベティーナはつい目を大きく開いてしてしまう。
「私が知っていることが意外という顔をしているわね」
 さわわと優しい風が吹き、庭園の花を撫でつけていく。オティリエは目を伏せて、紅茶を一口飲んだ。アルベティーナは先ほどからカップに手を伸ばせていない。
「まずはお茶でも飲んだら? この茶葉は東の隣国のマルグレットから取り寄せた茶葉なの。マルグレットは昔からいい茶葉を生産していたのだけれど、交流が盛んになったのはほんの数年前からなのよね」
 それはあのシーグルードも口にしていたことだ。隣国のマルグレットの国王が代わってから、このグルブランソン王国はいい関係を築けている。こうやって茶葉が手軽に手に入るようになったのもそれがきっかけとなっている。
 オティリエに促されたアルベティーナはゆっくりとカップに手を伸ばした。鼻腔をくすぐる香りが、このお茶が良質であることを物語っていた。カップを傾けて一口飲めば、香ばしい香りが身体に染み渡っていく。
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