【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 そう思うとなぜか喪失感に襲われ、呼吸が苦しくなっていく。この気持ちをどう解放したいいいかわからず、誰かに聞いてもらいたい、その聞き役として思い浮かんだのがオティリエだったのだ。
 だがアルベティーナの人選に間違いはなかった。こうやって彼女は真剣にアルベティーナの話に耳を傾けてくれる。それだけでも気持ちが少しずつ整理されていく。
「私……。やっぱり殿下の婚約者候補を辞退しようと……思うの……」
 オティリエは驚いてアルベティーナの顔を見つめてくる。アルベティーナも、自身で口にした言葉がどれだけ影響のあるものであるかを知っていた。何しろ父親であるコンラードでさえは、辞退は難しいと言っていたのだから。
「辞退は、難しいわよ?」
 握られている手に力が込められたのをアルベティーナは感じた。
「例えば、私が殿下の婚約者として相応しくない、とか。そういったことがあれば」
「う~ん」
 オティリエは握っていた手を離し、唸って椅子の背もたれに身体を預ける。
「私が見た限りでは、あなたは完璧な令嬢。あなたが殿下の婚約者に選ばれたとしても、誰もが納得すると思うわ」
「だけど。その、女性騎士だし……」
「それをわかっていて、向こうは候補に選んできたのでしょう? そんなの、辞退する理由にはならないわよ」
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