【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
「悪かった。俺もお前に甘えすぎていた。あいつには俺の方からきちんと伝えておく。純粋に仕事の手伝いをしてもらっていただけで、疚しいことは一切なかった、と」
「いえ、団長のお役に立ちたいと思っていたのは、私の本心ですから」
 膝の上に置いた両手をきゅっと握りしめてから左手をルドルフの方へ伸ばし、机の上に置かれている彼の右手に触れた。
「アルベティーナ、どうした?」
 いきなり手などを握られてしまったら、誰だって不審に思うだろう。手のひらから伝わってくるルドルフの熱が、じんわりとアルベティーナの身体中に広がっていくような感じがした。
「団長……。私、あの……」
 なかなか言葉を続けられないアルベティーナを安心させるかのように、ルドルフもそこに自身の手を重ねた。アルベティーナは驚いてルドルフを見上げる。彼は優しく笑んでいる。
 ゴクリと喉を鳴らして、アルベティーナは唾を呑み込んだ。今なら言える。
「私……。本当は殿下の婚約者になりたくないのです。だから、できれば辞退をしたいと……」
「そうか……。だが、それは難しいだろうな。候補者は三人いるが、恐らく婚約者はお前に決まるだろう」
「え?」
「何しろ、あいつがそれを望んでいる。他の二人は、数合わせみたいなものだ。いきなりあいつがお前を婚約者にと望めば、一部から反感を買うからな。それぞれの派閥から条件に合いそうな令嬢を候補者として選出し、その中から選んだ。そう見せつけることが、狙いでもある」
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