【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
(団長が戻ってくるまで、少し横になっていてもいいかしら……)
 頭がぼんやりとしてきた。重くなる瞼に抗えない。
(団長、遅いな)
 そんなことを考えながら、アルベティーナは寝台の上に横になり、瞼を閉じる。ふっと意識を手放しかけたとき、ふっと彼女は気付いた。
(もしかして、団長……。こうやって私を眠らせて……)
 そこでアルベティーナは眠りに落ちた。


 じっと見られているような感じがあって、アルベティーナは目を開けた。
「やっとお目覚めか」
 彼女を見下ろしていたのはルドルフだ。前髪が少し濡れているのは、湯上りだからだろう。
 眠ってしまったと思ったが、あれからあまり時間は経っていないようだ。
「あ、団長……」
「お前。俺に抱かれにきたんだろう? それともここで眠りにきたのか?」
「ち、違います。団長を待っていたら、眠くなって……」
「じゃ、ひと眠りしたなら、もう眠くはないな」
 ルドルフは寝台を軋ませて座り、アルベティーナを見下ろしてくる。彼女も慌てて身体を起こそうとしたが、その肩をルドルフの手によって押さえつけられた。
< 136 / 231 >

この作品をシェア

pagetop