【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 彼女が案内されたのはサロンだった。薄い橙色を主体とした明るい色調で、心も華やぐようは部屋である。そこにある二人掛けのソファに、国王と王妃が並んでゆったりと座ってくつろいでいた。
「父上、母上。お待たせしていまい、申し訳ありません」
 シーグルードが頭を下げたため、アルベティーナも釣られて下げた。
「早速ですが。私はアルベティーナ・ヘドマンを婚約者に望みます。先ほど、彼女に求婚しました」
 あれが求婚であったのか、と密かに思っているアルベティーナであるが、彼の想いは痛いほどに伝わっていた。
「あらあら、気が早いのね、ルディ。きちんと彼女を私たちに紹介しなくてはダメじゃないの」
 くすくすと笑んでいるのは王妃だ。国王はむっつりと顔をしかめている。
 アルベティーナはシーグルードから促されて挨拶をした。この二人に挨拶をするのはデビュタント以来である。
「そんなにかしこまらなくても良いのよ」
 王妃は陽だまりのように笑っている。
「アルベティーナ嬢、どうせルディが暴走したのだろう。迷惑をかけて申し訳ない」
 国王が難しい表情をしていたのは、息子のことが原因だったようだ。
「不肖の息子が、長年結婚も婚約もせず、周囲からは男色の気まで疑われ。苦肉の策でそれらしい令嬢から選んでもらおうと思ったのだが。こやつが選ぶまでもないと言い出してな。他の二人には断りを入れた」
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