【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 胸がぎゅうっと締め付けられるような思いがした。だけど、シーグルードがそう言ってくれたおかげで、少しだけ呼吸が楽になる。
 庭園には彼の言葉の通り、色とりどりの花が咲いている。
「君は、この花が好きだよね」
 風が吹くと心地よい空気が肌を撫でつけていく。庭園の中心には白い噴水がある。
 そんな中、シーグルードが腰を折ってアルベティーナに見せたのは、赤い小ぶりの花だ。
「私……」
 そう、アルベティーナはこの小さな花が好きだった。だが、なぜそれをシーグルードは知っているのか。
「どうして……」
 その言葉しか出てこない。
「なぜシーグルード様はご存知なのですか? 私の好きなものを」
「私が君のことを好きだから、だろうね。好きな人の好きなものは知りたい」
「もしかして。エルッキお兄さまから聞いているのですか?」
「さあ?」
 そこで彼は首を傾げた。アルベティーナが核心に触れようとすると、シーグルードはこうやって誤魔化そうとする。
 すとん、とアルベティーナの中で何かが落ちた。
(シーグルード様だけではない。みんな、私に何かを隠している……。お父さまもお母さまも……。王妃様も……。みんな……)
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