【受賞】隠された王女~王太子の溺愛と騎士からの執愛~
 庭園の裏門。二年前はあそこで一人の女性が攫われそうになっていた。ふらりと興味本位で門に近づこうとすると、不意に腕を取られた。
「ティナ。お願いだから、私から逃げないで」
 苦しそうに眉間に皺を寄せたシーグルードだった。
「逃げるつもりは、ありません。ただ、二年前のことを思い出して」
 二年前、とアルベティーナが口にすると「ああ」と思い出したようにシーグルードも頷いた。
「あれは、本当に驚いたな」
 笑いながらシーグルードは口にする。
「ヘドマン伯は一体何を教えているのかと。後で話題になった。エルッキも驚いていたよ」
「そ、それは……」
「だから『強暴姫』だなど、そんな二つ名で呼ばれてしまったのだろう?」
「ご存知だったのですか?」
 ああ、とシーグルードは大きく頷く。
「何しろ、その噂を流したのは私だからね」
 口元に手を運んだシーグルードは、くくっと笑っていた。
「なっ……」
 開いた口がふさがらないとは、まさしくこの状況を指すのだろう。口をぱくぱくと開けたアルベティーナであるが、言葉が出てこない。
「君が他の男に奪われないように、と思ってね。『強暴姫』であれば、君を欲しがる男がいなくなるだろうと思った。君の噂話は私のところまで届いていたから」
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